『中国拳法 形意拳入門』 著 松田隆智 (1979) 日東書院

本書は松田隆智先生が台湾より来日された洪懿祥師範より学んだ陳泮嶺・張峻峰両師伝の形意拳台北武壇にて徐紀老師より学んだ尚雲祥系の形意拳を元に紹介されています。

 三体式や剪子股式など基本姿勢に始まり、跟歩などの基本歩法の解説、基本の劈拳・鑽拳・横拳・崩拳・炮拳の五行拳、五行拳を配合して連結した五行連環拳の套路、また参考付録として十二種の動物の動作や特徴を参考にして、形意拳の原理に基づいて考案された技法である十二形拳の套路が紹介されています。

 本書に述べられている『形意拳の秘訣』や『形意拳八要』には他の門派の拳術にも通じる重要な身体動作の秘訣が記されており、『形意拳は拳法の究極の姿である』とか『形意拳は拳法の精髄である』と言われる所以であり、非常に高度な身体操作が要求されます。

   この本を買った当時は、ジャッキーチェンの酔拳蛇拳にはじまるカンフーブームで、私も中国武術について何も知らずに、本書に紹介されている十二形拳の蛇形拳がジャッキーチェンの演じる蛇拳と関係あるのではと何か少し違和感も覚えながらも期待も半分で買ったものでした。最初は少しミーハーな気持ちで買った本でしたが、中国武術を練習すればするほど、動けない自分を感じ、また動けないながらも少しずつ中国武術に対する理解が深まるにつれ、より高度で難解な本に思われる今日です。