この本は、私が初めて買った松田先生の著書だったと思います。確かこの本が松田先生の本を買い漁るようになったキッカケだった様に覚えています。当時は、お小遣いだったので、少しずつ貯めて買ったり、誕生日のプレゼントに買ってもらったりして本を集めました。
この本は基本から套路、対練、兵器まで実に盛り沢山の本で、まさしく中国拳法入門と言える本です。
まず、基礎知識編では基本姿勢である架式、補助運動として圧腿などの柔軟体操、馬歩站椿、単脚屈伸などの鍛錬法。
基本技術編では、各種捶法、三才歩などの歩法、各種脚法、蟷螂拳基本六路。
拳套編では、七星蟷螂拳の小虎燕拳。この套路は、少林拳から取り入れられたものと言われており、同様の套路が秘宗拳などの他派にも見られます(漢字の表記が多少違ったりしてますが)。また、この套路は大虎燕拳、中虎燕拳と3つに分けて伝承された套路だそうです。
少林拳らしく質実剛健な趣の套路ですが、跳躍技や上下起伏に動く技法が多い構成なので、練習すると結構、息が上がります。
また、この套路は、蟷螂拳の名師・李崑山から蘇昱彰老師へ伝えられたものに、八極拳の名師・劉雲樵老師によって八極拳の威力を加味したものだそうです。
何やらそのような触れ書きがあると、心が踊って套路練習にも身が入る思いです。
具体的にどの技法であるとの記載は無いのですが、八極拳の震脚の様に殿歩からつなげる技法が幾つかあったり、また八極拳の闖歩の様に上下連環捶では両踵を浮かせてから騎馬式になりつつ打ち込むところなど、八極拳を彷彿させるような力強い技法があります。
対練編では、連三捶という固定対練と七連腿という活歩対練が紹介されています。
兵器編では、剣法は三才剣という北派ではメジャーな套路が紹介されています。この剣は、一人型がそのまま二人で組み合って、攻防の練習が出来る套路だそうです。それから、棍法は中国北方に古くから伝えられる瘋魔棍という套路が紹介されています。この套路の技法は、槍術と通じるところが多く、棍法の中では高級な部類に属するそうです。瘋魔棍は書籍の写真だけでは、その動きや流れが伝わり難いのですが、私もYouTubeで瘋魔棍の演武を初めて見た時、纏封三刺棍などまさしく槍術の攔拿扎であり、それでいて片手で棍を振り回す様なダイナミックな技法もあり、乱戦や弓矢などの射出兵器の防御を想定している様な動きで、明らかに日本の古武術の棒術とは技の成り立ちが違うのかなと思われるような動きが多いです。
そして最後に特殊武器編では双飛短剣の使用法が解説されています。この武器は暗器としても使用されるそうです。昔の武侠もののカンフー映画に出てきそうな武器です。
表紙の松田先生の旋風脚の写真がカッコイイです!!
瘋魔棍の演武動画